すみません、遅くなりましたがベスト記事です。
昨日から甥っ子が遊びに来て色々と巻き込まれました。
何であんなに元気なんだ。病み上がりにはきついです。
あとは書き溜めておいたのに色々と気に入らなくなってて
書き直したりしてたらいつの間にか4時間経ってました。
なぜ時間を置くと自分の文章がこんなに気に入らないんだろう…。
さて、今年のランキングについてです。
上半期にBLコミック/BL小説だけベスト5をやっていますので、
BLコミック/BL小説は下半期のベスト5を五冊ずつまず挙げて、
そのうえでトータルでのベスト5を書くようにしました。
非BLコミック/非BL小説は単純な今年1年でのベスト5です。
それでは、以下にて。
非BLコミック
1.『魔女と猫の話』/四宮しの
四宮さんのどのBLよりこの話が一番いい、というくらい
この作品が好きになってしまいました。
絵はふわふわしてても自分の猫を呼び出すという
ワクワクするファンタジーの世界観はしっかりしています。
そのうえで、少女と猫との関わりで描かれる、
精神的なもろさや揺らぎが凄く好きです。
すぐそこに忍び寄ってひやりとさせるような…でも
最後には暖かい気持ちになれるんですよね。
かなりリピートしています。
2.『月刊少女野崎くん』1〜3/椿いずみ
続き物は感想を書きづらいのであまり入れたくないですが、
これは最後まで内容が変わらなさそうなので
ここで評価を決めても大丈夫そう。
いやあ、少女マンガ家・野崎くんをはじめ、
周り全員がボケもツッコミもできるいいキャラしとる!
(ネタも面白いですが)キャラだけでこれだけ話が回るのは凄い!
一番好きな話が3巻にあるというのも凄いです。
もっとも続きを楽しみにしているシリーズの1つです。
3.『チャンネルはそのまま!』1〜6/佐々木倫子
こちらは完結したので安心して感想が書けます。
佐々木さんのコメディは本当に上質だなあと感心します。
主人公の行動は突飛もなくって作中で「バカ」呼ばわりを
されていますが、その行動が巻き起こす影響は
トータルで見ればとてもいい方向に向かっていて、
むしろ「バカ」は褒め言葉にすら見えてきます。
(社会人的には近くにいてほしくないけれど)
6巻で終わってしまったのが惜しいですけれど、
無駄に引き伸ばされていないのも、大切にされている
証拠と考えて、また次の作品も楽しみにしています。
4.『その男、甘党につき』/えすとえむ
BL界出身から2作目のランクイン。
これの理由は、半分は装丁と言っても差し支えないかもです。
包装紙を連想させる金の帯(その上にショコラ)、
高いショコラに良く入っている上紙の模様の中表紙、
そしてインクはすべて茶色!凝ってるうえに
内容にぴったりでショコラ並みに贅沢ですよ。
お値段もそのぶん少し高めですが、装丁で元は取れます。
中身もショコラとねっとりとしたエロスがたまらなく官能的です。
一般誌なのがつくづく残念です。
食とエロスってアンソロとか出ないかなあ。
5.『迷信話集 うつつのほとり』/草間さかえ
BL界出身から3作目。今年は草間さんのBLが1冊しか出なくて、
少し寂しかったんですが、その代わりにこちらは素晴らしかったです。
草間さんの書く田舎の風景ってなんでこんなに美しいんだろう。
となりのトトロを彷彿とさせるのよね……でもって
主人公のまっすぐな少年を通して描かれる
大人との関わり・ともだちとの関わり・天狗との関わりは、
楽しいことばかりではないけれど、愛おしいのです。
やっぱり草間さんは特別枠レベルで大好きです。
非BL小説
1.『クローバー・レイン』/大崎梢
本好きに薦めたい本っていくつかありますが、これもその一冊。
出版社の若手編集者が今は売れていない作家の話を
売り出そうとするにはどれだけのハードルを
乗り越えていかなければいけないのかというと、
読むだけですごく仕事頑張った気分になれます。
「創作」と「商売」を兼ねるって大変ですよねえ。
自分にとっては大崎さんは「配達あかずきん」の
イメージが強いですが、それよりも
こちらを「本好きに薦めたい!」本です。
2.『新世界より』/貴志祐介
文庫で3冊!京極ほどじゃないけど分厚いよ!長いよ!
SFとかファンタジーは設定を覚えるまで時間かかるよ!と、
父親から借りたくせにしぶしぶ読みはじめたんですが、一気読み。
途中でほかの本を挟んで読む気になれない怒涛の展開、
愚かさや醜さがダイレクトに浮かび上がる描写、面白かったです。
ちょこっと同性愛的な描写もあってうれしかったりする。
3.『the TEAM ザ・チーム』/井上夢人
これは母親から借りた本。井上さんらしいというより
岡嶋二人らしいコミカルなピカレスクミステリです。
裏技的な方法を使わなければ解決できない問題を
ばっさりと解決していくのが爽快です。
ドラマ化したら凄く面白いんじゃないかなーと
思ってるんですがオファーないんですかね。
4.『古本道場』/角田光代
私も本は好きだけどモノとしての本に比較的執着しないので、
古書の価値をそれほどわかっていないのですけれど、
この本や『本棚探偵』(喜国さん著)などを読んで、
古書=人生みたいな人もいるんだなあと
半分呆れ、半分感心しました。愛し方が並大抵じゃない。
この本で特に好きなのは、角田さんが紹介されている
各古書店の特徴をたとえるとき。行ったこともないのに
行ったような気分になれる素晴らしい比喩なのです。
BLがないので基本あんまり行かないんだけどね!
5.『ダンガンロンパ霧切』1・2/北山猛邦
ゲーム「ダンガンロンパ」シリーズに登場する
霧切響子というキャラの番外編ノベライズです。
実は北山さんは一回も読んだことないのでこれが初なのですが、
すごく面白い。非現実的とも感じられる設定は
ダンガンロンパの世界ならありだと思えるし、
ミステリ部分についてはきっちりとしていて文句ありません。
文句があるとすれば単行本でお高いってことかな!
1巻より2巻が面白かったので3巻によりいっそうの期待をしています。
BLコミック
■『川果町よろづ奇縁譚』/四宮しの
なんと非BLと両方にランクインという…
好みなんですよね、この方のファンタジー。
藤子不二夫のSF(すこしふしぎ)に近い
日常の裏側にひっそりと重なっている
怪奇のように思います。だからこそ怖い!
…あれ、これBLの感想ですかね?(笑)
実際BL部分は攻め…と思われる子が
まだお若いので、そちら方面は
ほぼサブカップルにかかっているのですよね。
onBLUEはこういう作品もあったり濃い作品もあったりで、
あまり濃さが縛られていないのも好きだったりします。
■『坊主かわいや袈裟までいとし 1』/本間アキラ
少年のころに会っていたわずかな時期に
持った感情を、心の奥に潜めていた2人が
再会する話なんですが、もうとにかく、
マルコメの大円がかわいくってかわいくって……。
マルコメ受けって業界的にはNGなのかどうか
わかりませんが、こんだけ可愛ければ
なんだっていいわよ!撫で回したいー!
攻めのミロクもそりゃあ愛おしく思えるわ。
兎オトコ虎オトコも同じですが、早くいたすシーン、
そこの到達するまでの過程も含めて、が読みたいです。
■『スニーキーレッド』/たなと
暴力的表現が好きではない人には
オススメできないんですけれども、
個人的に今年の初読み作家ではベストです。
暴力的表現は最初のほうは痛々しいし、
攻めが好き勝手にしているように思えます。
ですが受けが隠れMであることが見え隠れし、
実は攻めは結果的に奉仕しているという
バランスのひっくり返しがSMと結びついて、新鮮でした。
現実世界だとSMはまったく興味ないんですけれど、
なんでかBLだとSM性癖って好きなんですよね。
(SMプレイはどうとも思わない。あくまで性根の話)
暁由宇さんのようにはっきりSMとわかるものではないですが、
暁さんがお好きならぜひオススメしたいです。
■『晴れときどき、わかば荘あらあら』/羽生山へび子
あいかわらず昭和の香りがする、
いい意味でのアナログさが昭和生まれには
とても染み渡るんですのよ。
(平成生まれで好きな人もいるでしょうが)
羽生山さんの作品としては初めて
複数のカップルが登場する作品かな?
それでも1つ1つの話が異常なまでの
書き込み量のおかげもあって濃いので、
短編によくある不足感が一切感じられないのもうれしいところです。
わかば荘の人たちの話よりも子持ちやもめ×後輩が
一番好きだって言うのは内緒です。
■『囀る鳥は羽ばたかない 2』/ヨネダコウ
上半期が『Nights』なら、下半期はこちら。
どちらも趣向は違えど面白かった!
表紙が凄いですねー、人物がメインじゃない
表紙ってBLだと相当珍しいのでは。
(特殊な理由でしたが夜光花さんの
「サクラ咲ク」ぐらいしか思い浮かばない)
でもこの表紙が内容に怖いくらい似合ってるんですよね。
雨の降る夜の交差点で、ひとりたたずむ受けの人生は、
あまりに重過ぎます。この本の分厚さ並みに重い。
できれば早くその隣に攻めが並んでほしい、
幸せになってほしい…3巻ではそうなることを願っています。
トータル:
1.『東京心中』/トウテムポール
2.『NightS』/ヨネダコウ
3.『明日屋商い繁盛』/ARUKU
4.『川果町よろづ奇縁譚』/四宮しの
5.『スニーキーレッド』/たなと
ヨネダさんは評価の固まった『NightS』で。
ほかの5冊も捨てがたいというかほぼ同点なんですが、
続いているものは優先度下げました。
BL小説
■『ディア・マイ・コンシェルジュ』/李丘那岐
オフィスラブとしては一番面白かった作品、
ということでランクイン。
ホテルのコンシェルジュという大変な仕事を、
向いてないと思いつつまじめに
取り組んでいる受けがかっこいい。
努力できる時点で向いてないわけじゃ
ないと思いますけれどね。
そんな受けを、たいていのことはなんでもこなせちゃう、
でもスーパー攻め様じゃなくてそれを退屈に思っている攻めが
からかったり挑発しながら惚れ込んでいく過程が面白かったです。
自分が働くのはそんなに好きでもないですけれど、
やりがいを見出して働いているBLを読むのは好きという矛盾。
■『熱砂と月のマジュヌーン』/木原音瀬
イッツトンデモ枠!
木原さんが王道でないのはいつものこと、
でもアラブにおいても道を外れるとは…。
王の寵愛がないアラブって、
ラクダと獣姦って!(笑)
さすが初出が同人誌だけあって
スーパーぶっ飛んでいます。
なのに、とんでもなく性格が悪い受けだからまったく
可哀想には思えないんですが、陵辱されたりで
悲惨な末路をたどりつつある受けが唯一持った愛が
報われるシーンではしっかりと感動させるところが
ただのぶっ飛びで終わらない、木原さんの力です。
王道しかしらないBL読みが読んだら驚きますよね……、
でもぜひ読んでBLの懐深さを感じてほしいです。
■『FLESH & BLOOD 21』/松岡なつき
これは入れるしかないでしょー!と
ようやく、よおおやく、21巻にして
まともにいたせるシーンが……!
この感慨は読んでいる方にしか
わからないでしょうけれど、
ジェフリーとカイトが思い合ってから
いたすまでの変遷がもの凄いのです。
カイトが敵国につかまって離れ離れになってしまったり、
カイトが病気でタイムワープするしかなく離れてしまったり、
戻ってきたらジェフリーが投獄されていたり……、
どうせくっつくなんてことはわかっていますけれど、
もうやきもきさせる具合がほかの作品とは
比べ物にならないスケールかつ期間なんですよ!
21巻に入ってもなかなかいたさないし!
……しかしそんな不満も、読んでからはなくなりました。
素晴らしい描写でした。エロい意味ではなく、
本当に素晴らしいMake Loveでした。
巻数的にオススメはしづらいですが、21巻を読むために
20巻分を読む価値はありますえ。
■『碧のかたみ』/尾上与一
巷では「永遠の0」が戦争ものとして
盛り上がっていますけれど、
こちらも大変面白いです。
BLと戦争ものってあまり組み合わせが
よろしくないように思うのですが、
逆にそんな極限状態だからこそ、
胸を打つものがあります。
他人のために命を賭すって、
かっこいいなんて単純に言っていいのかわかりませんが、
やっぱりかっこいい。複座式という戦闘機も、
2人で乗らなければいけない設定も素敵です。
戦争ものといっても激戦化していない前半では
のんびり・ほのぼのした部分もあるので、
全体が真っ暗というわけではありません。
戦争ものは…と思う方も手にとってはいかがでしょうか。
とはいえ時代でBLにするってかなり度胸ありますよねー。
これを出版しようとするホリーと尾上さんに感謝です。
■『交渉人は休めない~榎田尤利100冊記念特別版~』/榎田尤利
素晴らしいです。
たった2年で交渉人シリーズの続きが
読めたことも素晴らしいですし、
それが100冊記念で魚住くんシリーズなども
含めた冊子とセットなのも素晴らしいですし、
内容も素晴らしい。
さっきから素晴らしい、のバーゲンセールに
なってますけれど、それしか言えません。
幾多の波を乗り越えて取り戻した日常を満喫する姿、
また事件に巻き込まれつつも兵頭と芽吹が
幸せそうにイチャイチャしている姿を
見られただけでも私はうれしいです。
交渉人シリーズはこれで終わりになるのかな?
作家何周年記念とかでもかまわないので、
またぜひどこかで彼らの物語を読みたいものです。
トータル:
1.『交渉人は休めない~榎田尤利100冊記念特別版~』/榎田尤利
2.『FLESH & BLOOD 21』/松岡なつき
3.『藍苺畑でつかまえて』/小林典雅
4.『光の雨』(原罪・贖罪)/かわい有美子
5.『愛の裁きを受けろ!』/樋口美沙緒
1と2は凄く悩んだけれどほかのシリーズも込みで交渉人!
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以上、あれこれベスト5でした。
長い記事をここまで見ていただきありがとうございました!
明日(今夜)はワースト5の予定です。